新春に当たり、当会を代表して、ご挨拶申し上げます。
■外部環境
さて、昨年はアベノミクスの3本の矢のうち「大胆な金融緩和」と「機動的な財政政策」によって、円安・株高・最近のコアCPIの上昇(総務省によれば、2013年の年平均でコアCPIは0.4%増、コアコアCPIは0.2%減)、失業率の低下といった、リフレ政策の効果が出はじめているが、タイムラグもあり、実体経済への普及は、まだまだといったところです。
日銀は、昨年11月末迄の1年間に65兆円の資金供給を行ったが、63兆円はそのまま日銀の当座預金にブタヅミされ、国内の消費・生産に結びつく貸出(銀行融資)は14兆円程度しか増えなかったといわれています(注1)。
また、平成26年度は、消費税増税8.1兆円、公共事業費の減額1.3兆円、公的年金給付カット1兆円等々があり、前年度に比べ政府は約10兆円程度を、支出するのではなく、逆に吸い上げることになるといわれています(名目GDPを2%ほど押し下げる)(注2、注3)。ここにきて新興国経済の停滞懸念もあり、平成26年度は景気の減速や腰折れが懸念されます。
■こうした外部環境下における平成25年度の当会の活動
1.当会が母体のNPO法人としま創業ネットワークでは、
(1)平成25年4月26日に認定支援機関に認定された。
(2)豊島区との共催による「ビジネスなんでも相談」を実施。25年12月に覚書を締結。東京協会の図書館相談員派遣事業の予算が付く予定。
(3)区民部区民活動推進課様からの業務委託により「区民活動センター相談業務」を実施させて頂いた。
2.企業経営の支援分野では、
(1)国の平成24年度補正予算で創設された「地域需要創造型等起業・創業促進事業」(以下、創業補助金という)(延べ19件、現時点で13件中10件採択)、「小規模事業者活性化事業」(6件中3件採択)に対し、認定支援機関であるNPO法人としま創業ネットワークとともに経営支援を行った。
(2)税理士会様・社労士会様と共に十士業会による「事業と暮らしの相談会」を実施させて頂いた。
(3)東商豊島支部様主催の「経営力向上TOKYOプロジェクト」に当会所属の診断士が、4件ほど、協力させて頂いた。
3.商店街・街づくり支援の分野では、
(1)東京都中小企業診断士協会の商店街支援事業の一環として、南長崎ニコニコ商店街、長崎銀座商店会、池袋本町4商店会に対し支援した。当会独自の商店街支援として、椎名町すずらん通り商店会の支援を行った。 また、本年1月27日の城西支部の地域活性化支援事業のコンペにおいて、当会の山辺会員が「東池栄町通り商店街に対する支援」について発表を行ったが、残念ながら3等賞。
(2)平成24年度補正予算による「地域商店街活性化事業」及び「商店街まちづくり事業」において、池袋本町4商店会様、サンシャイン通り商店会様をはじめ区内外の延べ10商店街に対して支援。
(3)昨年6月から8月にかけて、「第9回地域・おもしろM大賞」選定事業を実施し、本年1月8日の区商連新年会で、足立会長と共に表彰状を授与。
(4)昨年8月24日の「大塚阿波踊り」には、診断士14名、弁護士6名、社労士1名、その他2名の計23名が参加し、木崎連長率いる区商連の連にて、相も変わらず、華麗なる踊りを披露させて頂いた。
■平成26年度における当会の活動ついて
(1)最近のトピックス
最近(昨年暮れ)、イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの大手小売が取り組み強化を打ち出したことで、「オムニチャネル・リテイリング」(注4、注5)という概念が注目されています。特にその中では、リアル店舗におけるコンテキストマーケティング(ポストモダンマーケティングの概念)が重要とされており、日本もいよいよ本格的なポストモダンマーケーティングの時代を迎えようとしています。
また、リーマンショック以後、企業には、従来からの経済的価値の追求だけでなく、社会的課題を、ビジネス手法を用いて解決することが求められています(M・E・ポーターのいう「共通価値」の創造)(注6)。商店街の活動も、高齢化、空き店舗対策等、社会的課題の解決を目指した取り組みであり、ビジネスとして成り立てば、まさにこの「共通価値」の創造になります。
(2)こうしたことを踏まえ、当会は、昨年同様、商店街・街づくりの支援及び企業経営支援に積極的にご協力申し上げたいと考えている(平成25年度補正予算でも、創業補助金や地域商店街活性化事業補助金等が継続されることになっている)
(3)経営診断に対し豊島区の予算が付かなくなったこともあり、当会会員の積極的な「ミラサポ」(中小企業庁に設置された中小・小規模事業者の未来をサポートするサイト)への専門家登録を押し進めていきたいと思う。城西支部の「事業再生・経営改善支援の指導者」に登録済みであれば、簡単に「ミラサポ」で専門家登録ができるとのことであり、未登録の方は、野村城西支部長にご連絡願いたい。
(4)更に、平成26年度は豊島区のビジサポにおいて商工相談が廃止されることもあり、図書館の「ビジネスなんでも相談」の開催回数を増やす予定。
平成26年度はこうした活動によって、環境適応を図っていきたい。
■最後に、ご来賓各位、会員各位のご健勝と商売繁昌を祈念申し上げて、私の挨拶とさせて頂きます。
(注1)日銀マネー65兆円はどこへ行った? 国内の消費・生産には少ししか回らず
連載:「お金」は知っている 2013.12.27 産経新聞特別記者・田村秀男
(注2)新年度予算は「超緊縮」が真実 増税に賛成した議員は責任重大
連載: 「お金」は知っている 2014.01.17 産経新聞特別記者・田村秀男
(注3)新年・日本経済最大の焦点アベノミクスの行方を見極めるポイント
高橋洋一の俗論を撃つ! ダイヤモンド・オンライン 【第84回】 2014年1月9日 高橋洋一 [嘉悦大学教授]
(注4)オムニチャンネル時代の「体験」マーケティング戦略
ダイヤモンド・オンライン 2012年7月26日から11月1日迄(5回連載)
大島 誠 [日本オラクル エンタープライズソリューション統括本部 インダストリーソリューション本部 担当ディレクター]
(注5)無数の顧客接点が融合する「デジタルを取り込むリアル店舗の未来」
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー誌2012年7月号 ダレル・リグビー著
(注6)経済的価値と社会的価値を同時実現する「共通価値の戦略」
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー誌2011年6月号 M・E・ポーター、M・R・クラマー著
コメントは受け付けていません。