立教通りの赤いパラソルと白いワゴンの八百屋さん
令和元年度 第15回おもしろマーケティング大賞 特別賞
池袋西口の立教通りを進み、山手通りの手前あたりまで来ると、赤いパラソルと白いワゴン車が見えてくる。これは、OTA青果の新店舗。
『群馬県太田市の農家と豊島区のお客様の間を結びたい。』という想いの店主は、週3日、店主の自宅のある群馬県太田市からワゴン車に地元の農家や市場から買い付けてきた新鮮な野菜や卵を積んで池袋に通ってきます。
地方では地産地消にも限界があるということで、少しでも、産地である店主地元の太田市とお店を愛してくれるお客様がいる消費地の池袋の双方に役立ちたいとの考え。 仕入れの状況によっては、量販店では見られない価格設定や品揃えが出来るのも、『産地の状況が見えるから出来ること。』と店主は話します。
1. | 限定性 | 群馬県太田市の農家や市場で買い付けた野菜や卵を、自ら運転するワゴン車で新鮮なうちにお客様に提供している。産地の供給状況を把握しながら生産者と消費者に喜んでもらえる仕入販売、価格設定をしている。 |
2. | 非日常性 | 大きな赤いパラソルの下のワゴン車での販売、野菜を並べている棚は青果の箱を再利用。通常の小売店と違ったオープンな環境は、並べてある色とりどりの野菜、果物を見るだけでも楽しく、昨今では、コロナウイルス感染予防にも効果的な販売方法である。 |
コロナウイルス感染症拡大により新たな挑戦へ
実は、OTA青果は、2020年7月まで池袋西口から徒歩5分の住宅街に約10坪のこじんまりとしたお店を構え、そこで今と同様太田市から新鮮な野菜を今より2日多い週5日運び、池袋のお客様から好評を得ていた。(下の写真は、以前の店舗のもの。) しかし、コロナウイルス感染症拡大の影響により、週5日の営業は週3日とせざるを得なくなる。加えて、店舗のオーナーから契約を見直したいという話しも出てきた。
週3日の営業を続けながら新たなチャレンジを模索している中、過去おもしろマーケティングで表彰された事業者が、立教通りでブリュワリー(ビール醸造所)を運営し、その敷地の一角が空いていることを豊島区の中小企業企業診断士から知らされる。
「週3日の営業であれば店舗を構えるのではなく、ワゴン車を使った販売でも行けるのではないか。」、「コロナウイルス感染への対応としては、これまでの狭い店よりも屋外のオープンな環境が良いのではないか。」、「従来より営業日数を減らしても、お客様に大きな迷惑はかからないように出来のではないか。」と自問自答し、一方で「その営業日を減らした時間を、挑戦したいと考えている『太田市での農業への取組み』にも使える。」と考え、店主は、新たな店舗の形へのチャレンジを決断した。
そこからは、敷地の管理を任されている事業者との面談から契約と、とんとん拍子に話が進み7月下旬に現在の店舗の開店となった。
昔のお客様も足を運ぶ地域になくてはならないお店
店舗を移るにあたって、店主が話していたのは、「今のお店に来ていただいているお客様を大事にしたい。」ということだった。
お店には健康に気をつけ新鮮な野菜を求める高齢のファンも多い。現在の場所は、元の店舗から高齢の方でもぎりぎり歩いて来られる場所ということも決断をした大きな理由だった。
もちろん屋外なので、天気に左右される部分は大きくなったが、それでもお客様の笑顔のために太田市から池袋まで新鮮な野菜をワゴンで運んでくる。
店舗情報
OTA青果 |
|
住所 | 東京都豊島区西池袋4-19-14 |
業種 | 小売業(野菜小売) |
https://www.facebook.com/gunma.ota.seika/ |