カフェなのに宿泊ができる椎名町のイベントスポット
平成28年度 第12回おもしろマーケティング大賞
チャレンジ賞
椎名町で半世紀近く愛されていたとんかつ屋が閉店して20年。その空き店舗をリノベーションし、「シーナと一平」はオープンした。土間と小上がりの畳スペースでカフェを営み、ここでは街のいろいろな世代が気軽に参加できるイベントも行っている。そして奥は和室の宿となっている。
とんかつ屋の看板をそのまま活かしたのは奇をてらったわけではない。地域の人々の当時の日常を看板に象徴したのだ。地域の人や来訪者に椎名町の日常を楽しんでもらおうという考えがある。
1. | コミュニケーション | 外国人客に人気の宿、暮らしに役立つイベントを開催 |
2. | 地域性 | 店名は椎名町にも由来、シェアミシン、宿泊客を街に積極的に案内 |
3. | 話題性 | マスコミ取材多く、SNSでの評価 |
椎名町の日常を楽しんでもらう
店名のシーナとはもちろん椎名町に由来する。地域住民と来訪者に椎名町そのものを楽しんでもらいたいという思いがある。
地域住民に対しては、この街に住み続けたいと思えることを大切にしている。日常が楽しくなるよう、また、生活に役立つような場をカフェスペースで提供している。現在(取材時)は月~木で「長崎二丁目家庭科室」が開催され、手芸、料理、健康、福祉など暮らしにかかわる学びの場となっている。教える方も学ぶ方も地域の人だ。また、店頭の腰窓部分を使って地域の人が一日限りのお店を出す「こしまど市」も好評である。
来訪者に対しては、宿に泊まるのではなく、街に泊まるというコンセプトで接している。椎名町は池袋という繁華街のすぐ近くにありながら、昔ながらの街並みも多く見られる。この街のよそ行きの姿ではなく、素顔を見てもらおうと、来訪者には銭湯や食堂をはじめとして街を積極的に案内している。外国人客に好評で、宿泊客の半分強を占める。外国人は有名な観光地だけでなく、日本の日常的なことに関心を持ち始めたようだ。
このように椎名町に賑わいをもたらしている当店は、しばしばマスコミにも取りあげられており、SNSでの評価も高い。
代表の日神山氏のチャレンジは続く
代表の日神山晃一氏(写真)は、豊島区リノベーションまちづくり構想によるスクールに参加し、4人の仲間と共にまちづくり会社を立ち上げ、事業化に至ったのがこの店である。日神山氏は椎名町出身というわけではないが、自分の長所は自分ではわからないことが多いように外の眼だからこそできることがある、と椎名町に対する思いは熱い。
その思いは近隣の商店主にも共感を呼んでおり、洋装店の店主が家庭科室の講師を引き受けてくれたり、当店と同じく宿泊業を営む社長とさえ連携したりしている。
最近では要町でも古民家カフェを運営、西池袋にブリュワリーパブ&ギャラリーを開く計画が進んでいる。街の日常を楽しんでもらえるところは椎名町を中心にまだまだ増えそうだ。
シーナと一平 |
|
住所 | 東京都豊島区長崎2-12-4 |
業種 | カフェ、旅館 |
ホームページ | http://sheenaandippei.com/ |