■新春に当たり、当会を代表して、一言ご挨拶申し上げます。
■さて、昨年は、TPP交渉が妥結し、国・地方の税収が大幅に増え、失業率が低下し、訪日客が大幅に増え、海外の「和食」ブームを追い風に農水産品の輸出が伸びたものの、消費税増税の影響もあり、日銀の年80兆円の資金供給も、大部分は日銀の当座預金にブタ積みされたまま、実体経済には余り回らず、かろうじてGDPの2四半期連続減(景気後退)を免れたといった状態でした。ただし、国・日銀の連結ベースで、国の債務残高は実質200兆円まで減りました(注1、2)。
2016年度は、消費税増税の影響も薄れるので、2020年度の名目GDP600兆円目標達成へ向けてまっしぐらかとおもいきや、昨今の原油等の資源価格の下落、新興国経済の不振もあって、インフレ率は低下傾向にあり、実体経済の先行きもおもわしくありません。これを受け、日銀は民間金融機関に、より一層の融資拡大や株式への投資を促すべく、当座預金の一部にマイナス金利、別名、金融機関課税(注3)を導入したところです。
■こうした外部環境の中、当会は、昨年、次のような事業を行った。
1.当会が母体のNPO法人としま創業ネットワークでは、
(1)豊島区様及び東京協会様と覚書を締結し、東京協会様の補助金を得て、中央図書館にて「ビジネスなんでも相談」を開催。
(2)区民部区民活動推進課様からの業務委託により「区民活動センター相談業務」を実施。
(3)昨年10月から、西武信金池袋支店様のご支援を受け、診断士会と共に、共催で((偶数月第2火曜日)、ビジネス無料相談会を開催。
2.企業経営の支援分野では、
(1)平成26年度補正予算の「創業・第二創業促進補助金」及び「ものづくり・商業・サービス革新補助金」(1次・2次公募)に対する経営支援を実施(6件応募4件採択、11件応募4件採択))。また、西武信金様の専門家派遣事業に当会会員一名が協力。
(2)税理士会様・社労士会様と共に、「事業と暮らしの相談会」及び「豊島区合同相談事業」に参加
(3)東商豊島支部様の依頼により、昨年3月に、小規模事業者持続化補助金の窓口相談に当会会員4名を紹介
3.商店街・街づくり支援の分野では、
(1)東京都中小企業診断士協会の商店街支援事業の一環として、椎名町すずらん通り商店会、池袋平和通り商店街、池三商店街に対し支援を行った。また、当会独自に、池袋本町4商店会、長崎銀座商店会を支援。
(2)本年1月25日の城西支部の地域活性化支援事業のコンペにおいて、当会の田中理会員と近藤会員が「豊島区伝統工芸保存会に対するハンズオン支援」という題で発表を行い、一等を受賞。
(3)区商連様の「としまショッピングガイドマップ(4カ国語)」作成に当会の会員3名が協力。
(4)昨年6~8月に「第11回地域・おもしろM大賞」選定事業を実施し、本年1月6日に区商連様新年会で足立会長と共に表彰状を授与。
(5)昨年8月22日の「大塚阿波踊り」には、診断士10名、弁護士4名、社労士2名、経営者1名の計17名が参加
■平成二八年度については、
平成二七年度同様に、オムニチャネルやM・E・ポーターの共通価値の考えなどに基づき、商店街・街づくりの支援及び企業経営支援を行っていきたい。また、新たに、次の事業を行う予定。
(1)海外の「和食」ブームを背景に、「和食」に関連する日本の伝統文化、江戸伝統工芸品にも注目が集まっており、訪日客や海外への販路開拓支援を目的に、「豊島区伝統工芸保存会に対するハンズオン支援」を是非実施したい。
(2)西武信金池袋支店様との共催によるビジネス無料相談会の開催日を、偶数月から毎月に拡大する(増加分は当会が負担)。
(3)中央図書館の「ビジネスなんでも相談」を木曜の夜間にも開催。
■最後に、ご来賓各位、会員各位のご健勝と商売繁昌を祈念申し上げて、私の挨拶とさせて頂きます。
【参考文献】
注1「日本の解き方」高橋洋一 [嘉悦大学教授]、2016.01.05号、日銀の量的緩和によって、日本の債務残高も、日銀含めた連結ベースで、200兆円・GDP比40%になった、と述べている(グロス1100兆円、ネット500兆円、日銀の国債買取残高300兆円)
注2「日本の解き方」高橋洋一、2016.01.06号。国の2016年度の国債発行計画は、短期を除くと122兆円で、日銀の新規の買いオペが80兆円で償還分が40兆円の計120兆円で、市中消化分はほぼ日銀が買い尽すことになる、と述べている。
注3「日本の解き方」高橋洋一、2016.02.04号