豊島区中小企業診断士会 井手上 悟
今年も10月29日(土)の晴天の中、豊島区中小企業診断士会恒例の秋の見学会を開催しました。 今回の見学先は、平成18年に中小企業庁の実施した”がんばる商店街77選”に選定された実績のある中延商店街と、平成21年に”新がんばる商店街77選”に選ばれた戸越銀座商店街を見学しました。 中延商店街では、中延商店街振興組合の鶴田副理事長様より話を伺うことができたのでご紹介をします。 中延商店街「スキップロード」 「中延駅」よりの入口付近 中延商店街は、東急池上線「荏原中延駅」と東急大井町線、都営浅草線「中延駅」の間に位置する交通の便の良い、立地に恵まれた商店街でアーケードを有する。近隣には、武蔵小山商店街、戸越銀座商店街など有名な商店街が隣接している競合激しい商店街となっています。 商店街は組合員128名で約112店舗程が加盟、1店舗あたり間口2軒~2軒半の小規模な小売店が多い。ポイントカードやクレジットカードも実施されています。 今回は、事前訪問時に開催が間近に迫っていた”ねぶた祭り”(9月17日実施済み)や、高齢者にやさしい取り組みの1つである”街のコンセルジュ”についてご報告いたします。
商店主が自ら手作りで作成した”ねぶた” 街の活性化への取り組みとして「よさいこい祭り」と隔年で実施されている「ねぶた祭り」があります。 東北出身者が多く、江戸の祭りを開催しても参加者が少ないことがで悩まれていた中で区の方から、福島県長沼町への見学アドバイスを受け訪問されたときにねぶた祭りが開催されていたことで、実施を決意された。自分たちで見よう見まねで目豚を作成しているときに、熱心に毎日見に来る人がいて、なにやらニヤニヤと笑ってみていた方が青森家観光協会の副会長であった。以来交流が深まり20年来のお付き合いとのこと。 ねぶたは夜の祭りであり、店主たちは警備にと借り出され、集客は可能なものの売上に結びつかないことが分かり、現在では昼のイベントへも力を入れているそうです。 商店街をグループ毎にわけ10会場を設置。B級グルメのつゆ焼きそばや煎餅汁、青森特産のりんごの加工品などの産直販売や、津軽三味線等のイベントを実施、また、青森、岩手、宮城より参加する人もあり、来た人が1日中滞留できるような仕掛けを考えての運営で総勢2万人から3万人の人手でにぎわうお祭りへと育ってきています。
街のお助け隊”街のコンシェルジェ” 若い人は日中仕事に出ており、商店街を歩く人たちが高齢者となっている中で、高齢者対策として活性化の検討を進めたのが始まりである。近隣の高齢者は9千名以上が暮らしておりその方達の老齢基礎年金だけでも約9億円。そのうちの2割を個の商店街に落ちるように工夫をしようと考えた。 街のコンセルジェの仕組みは、「助ける人」「助けられる人」ともに事前に登録、現在では1200名ほどが登録されている。両方共に事務局が告知して仲を取り持ちます。最低料金は、1時間800円で内300円が事務経費として事務局に入り、500円は品川区の共通商品券で「助ける人」に支払われます。 ボランティアではあるものの無料としないところが”みそ”である。 この活動により気づいたことは、高齢者は話し相手が欲しいのでは?とひらめき「高齢者の食べ歩きツアー」の企画(飲食店が暇になる2時前後に商店街の飲食店に連れて行く)を行ったところ評判となり、2~3回ほど参加された方は、お店の固定客となって、参加者同士で利用するなど活性化へ役立っています。 中高年へやさしい街へと店が色々なことを考えて一歩踏み出すことにより予想しないものが出てきたり、色々なものが見えてくるようになったとおっしゃっています。 1店逸品運動も行われており、商店画事務所の屋上にミツバチを飼育されておりその蜂蜜を使ったベーカリーや菓子店が誕生するなど新たな取組みにも行われている。 「個店が光れば商店街の輝く」と商店街の活性化の本質に触れることができた1日であった。
鶴田副理事長様よりお話しを聞く面々(総勢7名とやや寂しい?)
荏原中延駅より見た中延商店街 戸越銀座商店街へ歩を進め・・・