豊島区中小企業診断士会 清水 敏行
平成20年11月1日(土)の秋晴れの日、西川会長を筆頭に豊島区中小企業診断士会の有志9名で、昭和レトロ発祥の地である青梅の商店街を見学した。
昭和の洋画・邦画の看板があちらこちらに掲示されている商店街を通りながら、始めの見学場所である昭和レトロ商品博物館に到着した。
1.青梅商店街活性化事業の取組みの推移
まず、青梅商工会議所の地域振興部の岩波様より、これまでの活性化事業の概略についてお話しをうかがった。
最初は平成元年の歩道整備事業によるお客様の安全確保と街並み整備からスタートした。その後、平成3年から青梅宿アートフェスティバルというイベント事業の実施を始めた。これはノスタルジーを基本コンセプトとして、大人には懐かしく、若者には新鮮な内容で毎年テーマを変え、域外からの集客をねらったものである。
このイベントを続けることにより、さまざまな財産が生まれてきた。映画看板街道の実現(現在主なものだけで約30枚)、昭和レトロ商品博物館の開館(平成11年)、赤塚不二夫会館の開館(平成15年)、またレトロステーションとしてのJR青梅駅とのジョイントによる観光客の増加(平成17年)、昭和幻燈館の開館(平成17年)などである。
地域の博物館が3館そろったことで、昭和の時代が楽しめる青梅まるごと博物館事業が開始され、まちに回遊性が生まれ、人の動きが面となった。
2.3つの博物館と商店街の課題
岩波様のお話しのあと、実際に博物館3館を見学した。昭和レトロ商品博物館は昭和30年代?40年代の昔懐かしいお菓子やおもちゃ、雑誌などが展示してあり、時間がタイムスリップするような体験ができる。また2階には小泉八雲の雪女の伝説の部屋がある。
次の赤塚不二夫会館は、今年8月2日に亡くなられた天才まんが王の赤塚ワールドの世界が展開されている。若き漫画家たちが住んでいたトキワ荘のジオラマもあり、来館客も多かった。
昭和幻燈館は、昭和の映画看板と昭和の町中のジオラマが展示してあり、消えゆく幻の昭和の風景が再現されている。
さて、会館を出て商店街を散策していると空き店舗が目についた。青梅は賃料が高く、また高齢化と後継者不足により、なかなか店舗の新陳代謝が進まない実情があるという。観光サービスを核にまちづくりを進めるなかで、日常生活を支える業種業態店舗の充実が望まれる。また、青梅周辺には、多くの大型商業施設が展開され、競争が激化しているという。
今後の観光まちづくり事業の可能性と課題を同時に感じた有意義な見学会であった。