平成30年新年懇親会(H30年2月7日(水)、18:00~、ホテル第1イン)において、豊島区中小企業診断士会会長の西川洋一が、次のような挨拶を申し上げました。 ■新春に当たり、当会を代表してご挨拶申し上げます。
■さて、昨年は、失業率が自然失業率に近い2.8%まで下がり、2017年度の名目GDPは540兆円をこえる見通しとなりました。名目賃金は微々たる伸びにとどまっていますが、このままアベノミクスによる金融緩和と財政出動が続けば、賃金上昇の圧力が物価上昇につながり、さらにそれが名目GDPを押し上げるという、経済の好循環が見通せる段階になってきたといえるのではないかと思います。来日観光客が2869万人にまで増え、TPP11やEUとの経済連携協定(EPA)による今後のGDPの押し上げ効果も期待できます。ただし、2019年10月の消費税増税はやるのでしょうか。これをやれば、再度、好調な経済を腰折れさせる懸念があります。
■こうした外部環境の中、当会は昨年、次のような事業を行いました。
1.企業経営の支援分野では、
①東京協会の補助金を得て、NPO法人としま創業ネットワークと共に、中央図書館にて「ビジネスなんでも相談」(木・土曜日)を開催。
②西武信金池袋支店様のご支援を受け、共催で、ビジネス無料相談会(毎月第2火曜日)を開催。
③税理士会様・社労士会様と共に、「事業と暮らしの相談会」及び「豊島区合同相談事業」に参加。
2.商店街・街づくり支援の分野では、
①当会のメンバーが、独自に、池袋本町4商店会、椎名町すずらん通り商店会、長崎銀座商店会を支援。
②城西支部の地域活性化支援事業のコンペ(本年1月22日)において、当会の近藤会員の「豊島区商店街連合会 販売力向上への無料相談事業」という提案が、二等賞(特別賞)を受賞した。
③「大塚阿波踊り」(昨年8月26日)には、診断士13名、社労士2名、経営者等5名の計30名が参加。
④「第13回地域・おもしろM大賞」選定事業を実施し(昨年6~8月)、本年1月9日に区商連様新年会で足立会長と共に表彰状を授与。
⑤本年1月に、東京協会の地域支援実践集に、小泉会員が「おもしろMWEB訴求」という題で応募。おもしろMWEB訴求実行委員会では、過去の受賞店の取材記事を逐次HPに掲載中です。
■平成30年度については、本年度と同様の事業を行っていく予定です。
昨年のノーベル経済学賞は、行動経済学のリチャード・セイラー教授が受賞しましたが、その行動経済学によれば、おもしろMの評価基準に採用しているポストモダンMは、実にこの行動経済学の理論に合致したマーケティング手法であることが分かります。
行動経済学によれば、人の思考・行動は、必ずしも熟慮的・合理的ではなく、直感的で自動的な思考に基づくため、様々なバイアスがかかるそうです。
例えば、「ものを失う痛みは、得る喜びの2倍」というバイアスがあるため (折角の機会を失いたくないと考えるため)、限定販売が有効なことが分かります。
「他人がすることをする」(同調性)というバイアスは、集団に強い影響力を与えるバズの旗振り役や「サクラ」などが有効なことが分かります。
人は身近な環境から影響を受けやすく(文脈効果)、第一印象が形成されるとその影響はずっと続く(アンカリング)というバイアスは、文脈を刺激し訴えかけるコンテキストマーケティングが有効なことが分かります。
というわけで、当会は、来年度も本年度同様に、最先端の知見を活かした地域・おもしろM大賞」選定事業を初め、商店街・街づくりの支援及び企業経営支援を行っていきたいと考えております。
■最後になりますが、来年度は会長交代を予定しており、新会長ともども、引き続き、当会へのご指導ご鞭撻を賜るよう宜しくお願い申し上げます。ご来賓各位、会員各位のご健勝と商売繁昌を祈念申し上げて、私の挨拶とさせて頂きます。
【参考文献】
1「実践行動経済学」リチャード・セイラー、キャス・サスティーン著、遠藤真美二訳、2009.7.13、日経BP社。
2「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳、2013.8、早川書房。