平成29年新年懇親会会長挨拶

平成29年新年懇親会(H29年2月8日(水)、18:00~、ホテル第1イン)において、豊島区中小企業診断士会会長の西川洋一が、冒頭、次のような挨拶を申し上げました。

■新春に当たり、当会を代表してご挨拶申し上げます。

■さて、昨年は、失業率の低下、訪日客の増加、米国経済の好調、年後半のトランプ効果などがあったものの、一方で新興国経済の不振、原油価格の下落、年後半までの円高傾向、消費の停滞等もあり、再びデフレ環境に舞い戻ったような経済状況でした(注1)。日銀は、「マイナス金利」や「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(2016/9)の導入を行いましたが、金融緩和だけでは、デフレ脱却は難しいようです。米国プリンストン大学のシムズ教授は、デフレ脱却の処方箋として、「物価目標達成までは、金融緩和と適切な財政支出の拡大を行い、かつ消費税増税の時期(2019/10予定)を区切るな」(2017/1/27付読売新聞)と述べております。

日銀の国債買取残高は400兆円を超え(2016/10)、国の債務残高は、日銀を含めた連結ベースで大幅に減っており(200兆円未満、注2)、政府のデフレ脱却に向けた大胆な政策に期待したいものです。

一方、米国新政権の財政・通商政策は、そのままやるとすれば、インフレを加速させ、FRBの金融政策と衝突し、ドル高を招き、(円安批判と矛盾)、中長期的には、貿易摩擦や世界経済の縮小均衡が予想され、今後これらの点にどう折り合いをつけていくのかが注目される所です。

■こうした外部環境の中、当会は昨年、次のような事業を行いました。

1.当会が母体のNPO法人としま創業ネットワークでは、
(1)東京協会の補助金を得て、中央図書館にて「ビジネスなんでも相談」(木・土曜日)を開催。
(2)区民部区民活動推進課様からの業務委託により「区民活動センター相談業務」を実施。
(3)西武信金池袋支店様のご支援を受け、診断士会と共に、共催で(毎月第2火曜日)、ビジネス無料相談会を開催。また、昨年八月に、西武信金様主催の地域プラットフォームに加盟。

2.企業経営の支援分野では、
(1)平成二七年度補正予算の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」(1次・2次公募)や「二八年度補正小規模事業者持続化補助金」に対する経営支援。
(2)西武信金様のご紹介により、ウイズワーク社が行う「良い会社づくり総合支援事業」に専門家登録し、事業協力。
(3)税理士会様・社労士会様と共に、「事業と暮らしの相談会」及び「豊島区合同相談事業」に参加。

3.商店街・街づくり支援の分野では、
(1)東京協会の商店街支援事業の一環として、池袋平和通り商店街、池三商店街に対し支援。また、当会独自に、池袋本町4商店会、椎名町すずらん通り商店会、長崎銀座商店会を支援。
(2)城西支部の地域活性化支援事業のコンペ(本年1月23日)において、当会の小泉謙治会員が「おもしろマーケティングのWEB訴求の提案」という題で発表を行い、一等賞を受賞。
(3)「第十二回地域・おもしろM大賞」選定事業を実施し(昨年6~8月)、本年1月6日に区商連様新年会で足立会長と共に表彰状を授与。 
(4)「大塚阿波踊り」(昨年8月27日)には、診断士10名、社労士2名、弁護士3名、経営者等5名の計20名が参加。

■平成二九年度について申し上げますと、

■昨今、「モノのインターネット」といわれるIoT(Internet Of Things)が注目されていますが、IoTでは、モノ(デバイス)に組み込まれたセンサからのデータ(ビッグデータといわれる)を、AIなども使って利活用します。その心は、モノが単にインテリジェント化するということではなく、モノ、データ、人、プロセスなど全てのものをインターネットにつなげ、共通のデータを利活用することで、ビジネスに変革を起こす(事業ドメインの拡張)、言い換えれば顧客経験価値を向上させることにあるとされています。当会も注目しているオムニチャネルも同様の考えであり、IoTの適用分野の一つとされています(IoTではコネクテッドマーケティングと呼ばれている)。というわけで、当会は、平成二九年度も昨年同様に、ポストモダンMやオムニチャネル、M・E・ポーターの共通価値の考えなどに基づき、商店街・街づくりの支援及び企業経営支援を行っていきたいと考えております。

(1)なお、既に決定しましたが、本年4月に「おもしろM WEB訴求実行委員会」を発足させ、当会のHPに、おもしろMのWEB訴求を行うページを新たに掲載するとともに、ポストモダンM手法やオムニチャネルに興味をもつ訪問者に対するコンサルティングを実施します。コンサルティングの際には、西武信金様の専門家派遣事業を活用させて頂きたいと思いますので、ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。

■最後に、ご来賓各位、会員各位のご健勝と商売繁昌を祈念申し上げて、私の挨拶とさせて頂きます。

【参考文献】
1.日銀見通しで、2016年度の実質GDPの伸びは1.4%増。GDP算出方法変更(研究開発費を加えた)の影響あり。また、総務省によれば、2016年平均のCPIの総合指数は前年比0.1%減、生鮮食品を除くCPIは前年比0.3%減、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除くコアコアCPIは前年比0.3%増。

2.「日本の解き方」高橋洋一 [嘉悦大学教授]、2016.01.05号、日銀の量的緩和によって、日本の債務残高も、日銀含めた連結ベースで、200兆円・GDP比40%になった、と述べている(グロス1100兆円、ネット500兆円、日銀の国債買取残高300兆円)

 

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